収益と利益の最大化を支援する
プロフィット・コーチの小林 剛です!
『結果を出すなら、(財務)知識と意識で、PDCA』
「また、最低賃金が上がる。」
「人件費は、いったいどこまで上がるのか。」
「このままでは、会社の利益がなくなってしまうのではないか。」
今、多くの経営者が、このような不安を感じているのではないでしょうか。
私が介護施設を経営する山梨県では、
地域別最低賃金を現在の1,052円から1,113円へ、
61円引き上げる答申が出されました。
引上げ率は約5.8%。発効予定日は、2026年11月1日です。
これは、単に『最低賃金に該当する人の時給を61円上げればよい』という話ではありません。
今日は、経営者が最初に確認すべきことについてお話ししたいと思います。
まず、年間でいくら増えるのか?

人件費高騰への対応で最初にやるべきことは、削減ではありません。
影響額を、感覚ではなく数字で把握することです。
例えば、時給が61円上がる社員が10人おり、
1人当たり月160時間働いている場合を考えてみます。
『61円 × 160時間 × 10人 × 12か月 = 年間1,171,200円』
しかも、これは給与本体だけです。
社会保険料等の会社負担、残業単価、賞与や退職金の算定などに影響する場合があり、
実際の負担増は、さらに大きくなります。
■人件費は「給与」だけではない
経営者が試算するときは、基本給や時給だけを見てはいけません。
会社が負担する人件費には、法定福利費、残業代、賞与、
採用費、教育費、福利厚生費なども含まれます。
特に基本給を上げると、残業単価、休日・深夜割増賃金、社会保険料、
雇用保険料、賞与や退職金の算定基準などへ連動する場合があります。
61円の引上げが、最終的に会社全体でいくらになるのか。
月額、半年、年間、翌年度通期の4段階で確認することが大切です。
『賃上げの判断は、給与額ではなく、会社負担総額で考える』
月給制の正社員も対象になる

最低賃金は、パートやアルバイトだけの制度ではありません。
月給制の正社員も対象です。
月給者は、原則として次のように時間額へ換算します。
『最低賃金判定上の月給 ÷ 1か月平均所定労働時間』
通勤手当、家族手当、精皆勤手当、賞与、時間外・休日・深夜労働の割増賃金などは、
原則として最低賃金の判定から除外します。
また、地域別最低賃金より高い特定最低賃金が適用される業種もあります。
給与計算ソフト上では問題なく見えても、最低賃金の判定では不足することがあります。
実際の確認は、社会保険労務士などの専門家へ相談してください。
本当に怖いのは「賃金の逆転」

新人1,052円、経験者1,100円、リーダー1,150円だった会社で、
新人を1,113円にすると、経験者より新人の方が高くなります。
リーダーとの差も、わずか37円です。
これを放置すると、社員は次のように感じます。
✔長く勤めても、報われない。
✔責任を持つ意味がない。
✔新人と経験者の評価が同じだ。
✔この会社にいても、先が見えない。
最低賃金への対応と同時に、
未経験者、一人前、熟練者、指導担当者、リーダー・管理者という
役割ごとの賃金差を整える必要があります。
■社員への説明を後回しにしない
賃金を改定するときは、金額だけを通知するのではなく、
なぜ賃金表を見直すのか、どのような役割や成長を評価するのかを説明します。
説明がなければ、最低賃金に近い社員は『上がって当然』、
経験者は『自分の努力は評価されていない』と受け止めるかもしれません。
賃金表は、会社から社員へのメッセージです。
担当できる仕事が増えた。後輩を育てた。
品質を高めた。お客様から信頼された。
こうした成長が賃金へつながる道筋を示すことで、
賃上げを人材育成へ結びつけることができます。
『最低賃金だけでなく、賃金表全体を見直す』
まとめ:全社員の賃金を確認する
最低賃金への対応は、該当者だけを61円上げれば終わる話ではありません。
年間負担額を正しく計算し、月給者を含む全社員を確認し、賃金の逆転や圧縮まで整える。
まずは、ここから始める必要があります。
次回は、
『賃上げ原資は「売上」ではなく「粗利益」から生まれる ~人件費高騰時代に経営者がやるべきこと②~』
というテーマで、さらに詳しくお話ししたいと思います。
