付加価値を増やし、その成果を社員と分かち合う ~社員と会社がともに豊かになる「ラッカープラン」とは~

小林 剛
小林 剛

収益と利益の最大化を支援する
プロフィット・コーチの小林 剛です!

『結果』を出すなら、『(財務)知識』と『意識』で、PDCA

「社員の給料を上げてあげたい。」

「利益が増えたら、もっと賞与を支給したい。」

多くの社長が、そのような思いを持っています。

私も経営者として、社員には、できるだけ多く還元したいと考えています。

しかし、社員から給与や賞与の増額を求められたとき、

「会社として、いくらまで人件費を増やしてよいのか。」

「利益を残しながら、どこまで社員へ還元できるのか。」

この判断は、決して簡単ではありません。

そこで参考になるのが、「ラッカープラン」という考え方です。

今日は、会社の成長と社員への還元を結びつける「ラッカープラン」についてお話ししたいと思います。

ラッカープランとは何か?

ラッカープランは、会社が生み出した「付加価値(粗利益)」を基準に、人件費総額や賞与原資を考える方法です。

日本では、主に業績連動賞与の原資を決める考え方として活用されています。

会社が生み出す付加価値(粗利益)が増えれば、会社の利益だけでなく、社員へ還元できる人件費も増やせる。

この考え方が、ラッカープランの基本です。

■提唱者は、アメリカの会計士

ラッカープランは、アメリカの会計士・経営コンサルタントであったアレン・W・ラッカーによって、1930年代に提唱されました。

ラッカーは、アメリカ製造業の長期間にわたる統計を分析しました。

その結果、

企業が生み出す「付加価値(粗利益)」と「人件費総額」の間には、強い関係がある

ということに着目しました。

会社の付加価値(粗利益)が増えれば、社員へ還元できる人件費も増やせる。

反対に、付加価値(粗利益)が増えていないのに人件費だけを増やし続ければ、会社の利益と資金は減ってしまう。

ラッカープランは、会社と社員の双方が長く繁栄するために考えられた仕組みなのです。

■ラッカープランの計算方法

基本的な計算は、次のようになります。

★付加価値(粗利益)

*付加価値(粗利益)=売上高-材料費・仕入・外注費などの外部購入費用

★適正人件費総額

*適正人件費総額=付加価値(粗利益)×標準労働分配率

★賞与原資の目安

*賞与原資=適正人件費総額-すでに支払った人件費

例えば、次のような会社を考えてみましょう。

*付加価値(粗利益):1億2,000万円

*標準労働分配率:45%

*適正人件費総額:5,400万円

*すでに支払った人件費:4,800万円

この場合、ラッカープランによる賞与原資の目安は、600万円となります。

もちろん、この600万円を、必ず全額支給するということではありません。

ラッカープランは、

『会社が生み出した付加価値(粗利益)から見て、どの程度まで人件費を支払えるのか?』

を判断するための「物差し」なのです。

売上よりも「付加価値(粗利益)」が重要

会社経営において、売上はもちろん重要です。

しかし、売上が増えたからといって、会社が儲かっているとは限りません。

売上が増えても、

✔材料費が増えている。

✔仕入価格が上昇している。

✔外注費が増えている。

✔値引き販売が増えている。

✔不良や手直しが発生している。

✔残業時間が増えている。

このような状態であれば、会社に残る利益は増えません。

売上は増えている。

社員は忙しく働いている。

それなのに、利益もお金も残らない。

このような会社は、決して少なくありません。

■大切なのは、「会社に何が残ったか?」

経営で大切なのは、売上の大きさだけではありません。

その売上から、会社にどれだけの価値が残ったかです。

売上高ではなく、粗利益。

付加価値(粗利益)がどれだけあるのか。

そして、社員一人当たり、あるいは時間当たりに、どれだけの付加価値(粗利益)を生み出したか。

ラッカープランは、単なる売上ではなく、『会社に残した価値』に着目します。

社員の行動と賞与を結びつける

社員に、

「会社が儲かったら賞与を出します。」

と説明するだけでは、何をすれば賞与が増えるのか分かりません。

しかし、

✔値引きを減らす。

✔材料の無駄をなくす。

✔不良や手直しを減らす。

✔外注費を適正化する。

✔限られた時間で、より多くの仕事をする。

✔お客様に、より高い価値を提供する。

こうした行動によって付加価値(粗利益)が増え、その成果の一部が賞与として還元されると説明すれば、社員の日々の仕事と会社の業績がつながります。

社員も、

「自分たちの努力が、会社の数字をどのように変えたのか。」

「自分たちの行動が、賞与にどうつながったのか。」

を理解できるようになります。

■ラッカープランの本当の目的

ラッカープランの目的は、人件費を削減することではありません。

社員と一緒に付加価値(粗利益)を増やし、会社が支払える人件費総額そのものを大きくすることです。

会社だけが利益を得るのでもない。

社員だけが給与の増額を求めるのでもない。

会社が成長することで、社員の生活も豊かになる。

社員が成長することで、会社も強くなる。

つまり、

『会社と社員が、ともに豊かになる仕組み』

を作ることが、ラッカープランの本当の目的です。

まとめ:付加価値(粗利益)を増やし、その成果を分かち合う

ラッカープランは、単なる賞与の計算方法ではありません。

会社と社員が協力して付加価値(粗利益)を増やし、その成果を公正に分かち合うための仕組みです。

売上を増やすだけではありません。

粗利益を増やす。

無駄を減らす。

生産性を上げる。

お客様に、より高い価値を提供する。

その結果として生まれた付加価値(粗利益)を、会社の未来と社員の幸せのために使う。

これが、ラッカープランの基本的な考え方です。

しかし、制度を導入すれば、必ずうまくいくわけではありません。

付加価値(粗利益)の定義や労働分配率の設定を間違えると、社員の不信感を招いたり、会社の資金繰りを悪化させたりする危険もあります。

次回は、

「ラッカープランを導入するメリットと落とし穴」

というテーマで、制度を導入する前に経営者が知っておくべきことについてお話ししたいと思います。

この記事を書いた人

小林 剛

小林 剛

現役経営者として30人の社員を雇用し、経営者として日々経営し『愛と幸せと感謝と利益を最大化』させるL&H(ラブハピ)経営を推進しています。

会社は関わる人たちの生活を支えるために収益を生み出す必要があります。しかし、それだけでなく幸せになる場所でもあると考えました。

机上の空論・キレイ事の話でなく、私が会社経営を通じてやってきた

◆財務 ◆理念・ビジョン作り ◆組織作り

を使い、もっと多くの企業や人に「愛と幸せと感謝と利益を最大化」させる貢献しようと思い、コンサルティング会社を立ち上げました。会社経営を通じ、関わる全ての人の「愛と幸せの世界をつくる」お手伝いをしております。