収益と利益の最大化を支援する
プロフィット・コーチの小林 剛です!
『結果』を出すなら、『(財務)知識』と『意識』で、PDCA
前回は、「あの人がいないと回らない」という状態について、会社の強みと弱みの両面からお話ししました。
今回は、そこからもう一歩進めて、
「優秀な人を信頼して任せておけば、会社は大丈夫なのか?」
ということを考えてみたいと思います。
私は、プルデンシャル生命で約29年間、ライフプランナーとして仕事をしてきました。
お客様のお話を伺い、人生に関わるご相談を受け、長いお付き合いを重ねる。
その中で、
「小林さんだから、相談するんです」
と言っていただけることは、何よりうれしく、同時に、大きな責任を感じることでもありました。
担当者個人への信頼は、仕事をするうえで、とても大切なものです。
だからこそ、その信頼を会社として、どのように守っていくのか。
今回のプルデンシャル生命の問題と改革には、私たち経営者が考えるべきことがあると思っています。
「あの人なら大丈夫」で、確認を止めていませんか?

皆さんの会社にも、こんな方はいませんか?
✔ 売上を大きくつくってくれる営業担当者。
✔ 長年、会社を支えてくれている幹部。
✔ 現場のことを何でも知っている管理者。
こうした方々は、会社にとって大切な存在です。
社長としても、頼りにしていることでしょう。
しかし、頼りにするうちに、
「その人が、どのように仕事を進めているのか」
を、確認しなくなってはいないでしょうか?
「実績があるから、大丈夫」
「長年やっているから、分かっているはず」
「あの人のやり方には、口を出しにくい」
このような状態が続くと、会社のルールより、その人の判断が優先されることがあります。
例えば、他の担当者には承認を求める取引条件でも、その人だけは確認しない。
お客様から苦情があっても、
「あの人が対応しているから」
と、経緯を確認しない。
成果が出ていることと、仕事の進め方に問題がないことは、分けて確認する必要があります。
売上や利益の数字だけでは、見えないこともあるのです。
プルデンシャル生命の問題から、何を考えるか?

プルデンシャル生命は、2026年10月8日の公表資料で、今回の金銭不祥事等について、個々の営業社員だけの問題ではなく、経営管理態勢やビジネスモデルに起因する構造的な問題と認識していることを示しました。
個人の人脈や信頼関係への過度な依存。
お客様との関係の個人化・密室化。
そして、会社として営業活動の実態を十分に把握できていなかったことなどが、課題として挙げられています。
ここから私が考えるのは、
「担当者への信頼を、担当者一人に背負わせてはいけない」
ということです。
担当者しか、お客様との約束を知らない。
担当者しか、ご相談の経緯を知らない。
お客様も、担当者以外には連絡しづらい。
これでは、会社が状況を把握し、必要な対応をすることが難しくなります。
もちろん、属人的経営だから不正が起きる、と決めつけることはできません。
ただ、個人の誠実さに頼りながら、会社として確認する仕組みが十分でなければ、問題の発見が遅れるおそれがあります。
お客様が、担当者以外にも相談できる。
必要な記録を、会社として確認できる。
気になることがあれば、早い段階で対応できる。
こうした体制が、お客様と、誠実に働く担当者の双方を支えるのだと思います。
■「協力してほしい」と言いながら、何を評価していますか?
もう一つ、考えておきたいことがあります。
それは、評価の仕組みです。
プルデンシャル生命は、お客様との接点を増やし、営業活動の管理を強化するとともに、2027年の導入に向けて、契約の継続やコンプライアンス、募集品質などを反映する評価・報酬制度への見直しを準備しています。
これは、中小企業にも通じる話です。
社長が、
「情報を共有してほしい」
と言っていても、評価されるのが個人の売上だけであれば、どうでしょうか?
自分の売上を優先し、情報共有は後回しになるかもしれません。
「新人を育ててほしい」
と言っていても、教える時間や努力が評価されなければ、育成する人の負担ばかりが増えてしまいます。
また、問題を報告した人が責められる会社では、
「言わない方がよかった」
と思われてしまいます。
それでは、大切な情報が経営者に届かなくなります。
会社が求めていることを、会社がきちんと認め、評価する

売上や粗利益に加えて、お客様への対応、後輩の育成、情報共有、問題の早期報告も確認する。
社長の言葉と、実際の評価をそろえることが大切です。
報告を増やすだけでは、会社は良くならない
一方で、組織化を進める際には、氣をつけたいこともあります。
「管理を強化しよう」
ということで、報告書や会議を増やす。
しかし、同じ内容を何度も入力し、確認を待つ時間が増え、現場の仕事が進まなくなってしまう。
これでは、本来の目的から離れてしまいます。
大切なのは、
「その報告を、何のために使うのか?」
ということです。
報告を受けたら、必要な判断をする。
相談を受けたら、対応状況を伝える。
集まった情報を、仕事の改善につなげる。
報告する側だけでなく、受け取る側にも責任があります。
「報告したら、助けてもらえた」
「相談したことで、仕事がやりやすくなった」
こうした経験があってこそ、情報共有が続くのです。
まとめ:個人への信頼を、会社全体への信頼につなげる
私は、担当者個人への信頼は、これからも大切だと思っています。
お客様を思い、知識を磨き、約束を守る。
その積み重ねがあるからこそ、長いお付き合いが生まれます。
そして、その信頼を長く守るために、会社として果たすべき責任があります。
「優秀な人だから、任せておけば大丈夫」
で終わらせず、
「その人が安心して力を発揮できるように、会社は何を整えるのか?」
と考えることです。
必要な情報を共有する。
判断の基準を明確にする。
困ったときに相談できるようにする。
問題があれば、早く把握して対応する。
こうした仕組みは、担当者の負担を軽くし、お客様への対応を安定させることにもつながります。
そして、社長自身も、確認を受ける側に立つことが大切です。
自分の判断に質問があったとき、耳を傾ける。
都合の悪い報告であっても、事実を確認する。
実績のある人にも、同じ基準で対応する。
社長のその姿勢が、会社の中に「相談してよい」「問題を伝えてよい」という安心をつくります。
皆さんの会社では、いかがでしょうか?
✔ お客様は、担当者以外にも相談できますか?
✔ 社員は、上司に言いにくいことを相談できますか?
✔ 報告された問題を、改善まで確認していますか?
まずは、この三つを振り返ってみてください。
お客様が担当者を信頼し、その担当者を会社が責任を持って支える。
その積み重ねによって、
「この人に任せたい」
という信頼が、
「この会社なら、安心して任せられる」
という信頼へ広がっていくのだと思います。
次回は、組織的経営のメリットと、導入するときの落とし穴についてお話しします。
