「あの人がいないと回らない」は、会社の強みか、弱みか? ~属人的経営から組織的経営へ①~

小林 剛
小林 剛

収益と利益の最大化を支援する
プロフィット・コーチの小林 剛です!

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「社長がいないと、何も決められない」

「あの営業担当者でなければ、お客様のことが分からない」

「管理者が休むと、現場がうまく回らない」

皆さんの会社には、このような場面はありませんか?

頼りになる人がいることは、会社にとって大きな財産です。

しかし、その人にしか分からないこと、その人にしかできないことが増え続けると、会社はその人の不在に耐えられなくなります。

普段は問題なく動いていても、突然の病気、退職、異動などをきっかけに、仕事が止まってしまう。

そのとき初めて、会社が特定の人にどれほど依存していたかに気づくことがあります。

今回から5回にわたり、「属人的経営から組織的経営への転換」について考えていきます。

属人的経営には、会社を成長させる力がある

属人的経営とは、判断、情報、仕事の進め方などが、特定の人の経験や能力に大きく依存している経営です。

創業期の会社では、社長の行動力や人脈が事業を支えます。

社長が営業し、採用し、資金を調達し、問題を解決する。

少人数であれば、細かな仕組みがなくても仕事は進みます。

この経営には、明確なメリットがあります。

意思決定が速い。お客様の事情に柔軟に対応できる。責任者の熱意が、会社全体に伝わりやすい。

カリスマ経営者が、強い理念と決断力で会社を大きくすることもあります。

経験豊かな担当者が、お客様の言葉にならない要望をくみ取り、信頼を深める。

その人だからこそ生み出せる価値もあるでしょう。

つまり、属人的経営は、会社の成長を支えてきた一つの形なのです。

■成長を支えた強みが、成長を止めることもある

ところが、人数や拠点が増えても同じ方法を続けると、状況が変わります。

社長への確認が集中し、判断待ちが増える。

仕事のやり方が担当者ごとに違い、新しい人が育ちにくくなる。

お客様との約束が個人の記憶に残り、引き継げなくなる。

頼られる人にも、負担が集中します。

休みたくても休めない。自分で対応した方が早いため、他の人に教える時間を取れない。

その結果、ますます周囲が仕事を覚えられず、依存が強まることがあります。

さらに、成果を出す人の判断に周囲が異議を唱えにくくなると、問題が表に出るまで時間がかかります。

「できる人がいる」という強みと、「その人がいなければできない」という弱みは、隣り合わせです。

財務の面でも影響があります。

担当者ごとに値引きや取引条件が異なれば、粗利益は安定しません。

管理者の経験だけで人員配置を決めていれば、人件費とサービス品質の関係が見えにくくなります。

また、うまくいっている部署の工夫が共有されなければ、他の部署では同じ失敗やムダを繰り返してしまいます。

売上が増えているのに利益が残らない原因が、仕事の属人化に隠れていることもあるのです。

組織的経営とは、会社として仕事を引き継げる経営

組織的経営では、目的、役割、判断基準、必要な情報を共有します。

誰が担当しても守るべき品質があり、担当者が不在でも必要な対応ができる。

問題が起きれば、個人だけで抱えず、会社として判断する。

例えば、お客様との約束を記録する。日常業務の手順を整理する。

担当者が判断できる範囲と、上司に相談する基準を決める。

こうした仕組みがあれば、経験の浅い人も安心して仕事に取り組めます。

経験豊かな人も、すべてを自分で抱える必要がなくなります。

ただし、組織化を進めれば、自動的に良い会社になるわけではありません。

ルールを増やしすぎれば、判断が遅くなります。

すべてを同じ方法に統一すれば、お客様に合わせた工夫が失われることもあります。

だからこそ、共有すべきことと、現場に任せることを明確にする必要があります。

個人の経験を言葉にし、他の人も使える知識に変える。

そして、その知識を実際に使い、より良い方法へ更新していく。

これが、組織的経営への大切な一歩です。

社長に考えていただきたい三つの質問

自社について、次の三つを確認してみてください。

  • 社長が1週間不在でも、日常業務は進みますか?
  • 特定の担当者が退職しても、お客様との約束を引き継げますか?
  • 各部署や拠点の問題を、会社全体で把握できますか?

答えに迷うところがあれば、そこが組織づくりの出発点です。

まずは、「誰に、どの仕事が集中しているのか」を書き出してみましょう。

そのうえで、不在になると困る仕事から、情報の共有、手順の整理、代わりに担当できる人の育成を進めます。

最初から、すべての仕事を変える必要はありません。

一つの仕事を引き継げるようにすることにも、大きな意味があります。

まとめ:個人の力を、会社に残る力へ

属人的経営の良さは、熱意、判断力、行動力にあります。

その力を一人の中にとどめず、会社全体に広げることが、組織的経営への転換です。

社長や優秀な社員が積み重ねてきた経験には、多くの価値があります。

お客様との向き合い方、問題を解決する手順、利益を残すための判断。

その経験を次の人が引き継げれば、会社の力はさらに大きくなります。

ここで大切なのは、これまで頑張ってきた人の努力を認め、その知恵を教えていただくことです。

「なぜ、その判断をしたのか」

「どこに注意すれば、失敗を防げるのか」

「どの数字を見れば、状況が分かるのか」

こうした問いを通じて、経験を共有できる知識に変えていきます。

社長自身にも、役割の変化が求められます。

目の前の問題を解決するとともに、他の人が判断し、行動し、成長できる環境を整える。

任せる範囲を示し、必要な支援を行い、結果を一緒に振り返ることです。

その積み重ねによって、特定の人への負担が軽くなり、お客様への対応が安定し、改善の工夫が会社全体に広がります。

人材育成と利益の改善にもつながっていきます。

「あの人がいるから、会社が強い」

その強みを、他の人も育ち、力を発揮できる会社へと広げていく。

皆さんの会社では、まず、誰のどの経験を共有することから始められるでしょうか。

次回は、プルデンシャル生命の改革から、個人への信頼と組織の責任について考えます。

この記事を書いた人

小林 剛

小林 剛

現役経営者として30人の社員を雇用し、経営者として日々経営し『愛と幸せと感謝と利益を最大化』させるL&H(ラブハピ)経営を推進しています。

会社は関わる人たちの生活を支えるために収益を生み出す必要があります。しかし、それだけでなく幸せになる場所でもあると考えました。

机上の空論・キレイ事の話でなく、私が会社経営を通じてやってきた

◆財務 ◆理念・ビジョン作り ◆組織作り

を使い、もっと多くの企業や人に「愛と幸せと感謝と利益を最大化」させる貢献しようと思い、コンサルティング会社を立ち上げました。会社経営を通じ、関わる全ての人の「愛と幸せの世界をつくる」お手伝いをしております。