収益と利益の最大化を支援する
プロフィット・コーチの小林 剛です!
『結果』を出すなら、『(財務)知識』と『意識』で、PDCA
「固定費を下げろ!」
これは長年、経営の鉄則のように語られてきました。
しかし─その考え方、もはや今の時代には合っていないかもしれません。
人件費、光熱費、社会保険料、物価の上昇……
いまや 固定費は“下げるもの”ではなく、“上がるもの” として経営を捉える時代です。
では、固定費が上がっていく中で、どうやって利益を出していけばいいのか?
その答えは、たった一つ。
「粗利益を最大化する」ことに経営の軸を置くこと。
これが、変化の時代を勝ち抜く“粗利益経営”の基本です。
固定費が上がる時代背景【インフレ経済という現実】

なぜ、固定費はこれからも上がり続けるのか?
その背景には、企業努力ではどうにもならない構造的なコスト上昇があります。
- 🔺 最低賃金の上昇(毎年改定、今後も継続見込み)
- 🔺 社会保険料・法定福利費の負担増
- 🔺 電気・ガスなど光熱費の高騰と不安定化
- 🔺 建物・設備の保守や更新コストの上昇
- 🔺 採用・教育コストの増大(人材確保競争)
- 🔺 世界的インフレによる物価の上昇傾向
特にここ数年は、エネルギー・資材・労務コストの上昇が激しく、もはや「固定費は下げられる」という発想が通用しない状況です。
むしろ、これは経済構造が変化したサインと受け止め、経営の舵を切るべきタイミングなのです。
「固定費を下げれば、利益が出る」は、もう通用しない

かつては、こう語られていました:
「売上を伸ばし、固定費を抑えれば、利益が出る」
これは、市場が右肩上がりで拡大していた時代の考え方です。
しかし、現在は…
- 売上が伸びにくい
- 人材確保が難しい
- 価格競争が激化している
という“成熟経済”に突入しています。
「コスト削減=利益」という時代は終わった。
これからの経営は、「どう削るか」ではなく、「どう稼ぐか」が問われる時代です。
粗利益こそが、経営の源

ここで再確認しておきたいのが、「粗利益」の本当の意味。
▷ 粗利益とは?
売上から仕入や外注費などの 変動費を差し引いた利益 のこと。
つまり、固定費と最終利益を支える“原資”です。
粗利益がなければ:
- 固定費をまかなえない
- 利益が出ない
- 設備投資や人材育成もできない
ということは、固定費が上がるなら、それを吸収するだけの粗利益を稼がなければならないのです。
これからの時代に必要なのは、「粗利益最大化経営」

売上重視から、粗利益重視の経営体質へ─。
これが今、最も重要な経営転換です。
| 比較項目 | 旧来型 | これからの経営 |
| 固定費 | 削減対象 | 上昇を前提に吸収する |
| 売上 | 量を追求 | 粗利が高い売上に集中 |
| 商品構成 | 安売り・大量販売 | 高付加価値・利益重視 |
| 人件費 | コストとして抑える | 投資として成果を出す |
| 経営戦略 | 節約と削減中心 | 粗利と利益体質の強化 |
たくさん売っても利益が出ないビジネスから、
少なく売っても利益が残るビジネスへ。
この発想の転換がカギになります。
粗利益を上げるために、今すぐできること

では実際に、粗利益を増やすには何ができるのか?以下のような取り組みが有効です。
- ✅ 高粗利商品・サービスに注力する
- ✅ 値上げにつながる付加価値の明確化(品質・独自性・信頼)
- ✅ 在庫ロス・原価管理の見直し
- ✅ 採算の合わないサービスからの撤退または改善
- ✅ 社員に“粗利意識”を根づかせる教育・評価制度
売上を増やすより、粗利益を上げる方がよほど企業体質を強くします。
まとめ:固定費上昇は“危機”ではなく、“進化のきっかけ”
固定費が上がることを「危機」と捉えるのではなく、経営の在り方を見直すきっかけにするべきです。
- ✔ 高粗利な商品・サービスへの集中
- ✔ 価格ではなく価値で選ばれるビジネスモデルの構築
- ✔ 不採算な取引・業務の見直し
- ✔ “人”にかけた費用を“成果”に変える組織設計
こうした視点で経営を組み立てていけば、固定費が上がっても倒れない、利益が残る経営体質を実現できます。
◆ 最後に一言 ◆
『 下げるな、上げていけ。』
固定費が上がっても、利益を出せる会社は、強い。
だからこそ─
粗利益を最大化することが、これからの経営の生命線です。
