BSの運転資金構造は、ビジネスモデルそのものである ~ 黒字なのにお金が残らない会社が、必ずハマっている“構造の罠” ~

小林 剛
小林 剛

収益と利益の最大化を支援する
プロフィット・コーチの小林 剛です!

『結果』を出すなら、『(財務)知識』と『意識』で、PDCA

「黒字なのに、なぜかお金が残らない」

「売上が伸びているのに、資金繰りが苦しい」

多くの中小企業経営者が、同じ悩みを抱えています。

しかし、これは努力不足でも、経営センスの問題でもありません。


原因はただ一つ。BSの運転資金構造を理解していないことです。

私は、資金繰り窮する会社の核心はここにあると考えています。

BSの運転資金構造=ビジネスモデルそのもの

今回はこの視点から、「なぜ資金繰りは苦しくなるのか」、「どうすれば楽になるのか」を体系的に整理して解説します。

運転資金構造とは何か

まず、運転資金の基本式です。

運転資金 =売上債権 + 棚卸資産 − 仕入債務

それぞれの意味は次のとおりです。

項目意味
売上債権まだ回収できていない売上
棚卸資産まだ売れていない在庫
仕入債務まだ支払っていない仕入

この3つの組み合わせが、その会社の

  • 商流
  • 取引条件
  • 交渉力
  • 業界慣行
  • ビジネスモデル

をすべて反映しています。

だからこそ、

運転資金構造は、会社の“経営の仕組みそのもの(ビジネスモデル)”なのです。

運転資金構造が変化すると、資金繰りはどう動くか

ここが極めて重要なポイントです。

● 売上が伸びたとき

★運転資金が増える会社

(製造業・建設業・卸売業など)

  • 売掛金が増える
  • 在庫が増える
  • 仕入先への支払いが先行する

結果として起きる現象は、売上が伸びるほど、資金繰りが苦しくなる。

これが、多くの中小企業で起きている現実です。

いわゆる、「黒字なのにお金がない」という状態の正体は、ほぼここにあります。

★運転資金が減る会社

(前受型・サブスク・予約型ビジネス)

  • 先に現金が入る
  • 後からサービスを提供する

この場合は真逆です。

売上が伸びるほど、資金繰りが楽になる

同じ「売上増加」でも、資金繰りは構造によって正反対の動きをします。

● 売上が減少したとき

ここも見落とされがちですが重要です。

会社タイプ売上減少時
運転資金が重い会社一時的に資金繰りが楽になる
前受型ビジネス逆に資金が細る

つまり、

  • 好況期に苦しい会社
  • 不況期に苦しい会社

は、そもそも構造が違うのです。

資金繰りは業績ではなく、「構造で8割決まる」と言っても過言ではありません。

資金繰りを“楽にする会社”の考え方

ここからが経営者視点です。

■原則①:

「利益を増やす」より「資金が滞留しない構造」を作る。

資金繰り改善の順番は、

❌ 利益 → 資金繰り
⭕ 資金構造 → 結果として利益 です。

多くの経営者は、この順番を逆に考えてしまいます。

しかし、資金繰りはPLではなく、BSで決まる問題です。

■原則②:

BSは“金の流れの設計図”、PLは「結果表」。

BSは「未来の資金繰り表」です。

BSを見れば、

  • お金がどこで止まっているか
  • どこで滞留しているか
  • どこがビジネスモデル上の弱点か

がすべて見えてきます。

■原則③:

運転資金を“投資”として考える。運転資金そのものは悪ではありません。

問題は、

  • どれくらい必要かを把握していない
  • 売上が増えると、どれくらい資金が増えるか見ていない ことです。

売上が伸びるということは、会社の中に「現金でない資産(売掛金・在庫)」が、先に増えていくということなのです。

売上拡大とは、利益が増える前に、まずBSに運転資金が積み上がる現象でもあります。

この事実を知らずに売上拡大を進めれば、資金ショートは必然です。

短期借入金は、「資金構造調整ツール」

ここで言う借入金とは、短期借入金(当座貸越・短期継続融資)のことです。

短期借入金は、赤字補填のためのお金ではありません。

本来の役割は、次の3つです。

① 運転資金増加への対応

売上が伸びると、売掛金や在庫が先に増えます。
この「成長に伴う一時的な資金増加」を受け止めるのが短期借入金です。

② 成長に伴う資金ギャップの橋渡し

支払いは先、回収は後。
この時間差によって生じる資金ギャップを埋めるための資金です。

③ BS構造を安定させるための調整弁

短期借入金は、

  • 常に使い切るものでもなく
  • 早期完済を目指すものでもありません

運転資金の増減に応じて伸び縮みする資金構造のクッションとして使うものです。

返済財源は、売掛金や在庫の回収です。

だからこそ短期借入金は、「返すために稼ぐ借金」ではなく、「回ってくるお金で自然に返る借金」なのです。

この視点を持つ会社は、銀行との対話レベルが一段上がります。

まとめ:経営者に伝えたい本質

資金繰りは、

  • 努力論ではない
  • 気合でもない
  • 節約の問題でもない

構造の問題です。

そして、

“BSの運転資金構造は、会社のビジネスモデルそのもの”

良いビジネスモデルとは、

  • 売れば売るほど苦しくなるモデルではなく
  • 売れば売るほど資金が回るモデル

であるべきです。

この視点を持つことで、

  • 銀行融資の意味
  • 成長と資金の関係
  • BSを見る目
  • 経営判断の質

すべてが一段、深くなります。

財務とは、数字の話ではありません。

経営の構造を読み解く技術なのです。

この記事を書いた人

小林 剛

小林 剛

現役経営者として30人の社員を雇用し、経営者として日々経営し『愛と幸せと感謝と利益を最大化』させるL&H(ラブハピ)経営を推進しています。

会社は関わる人たちの生活を支えるために収益を生み出す必要があります。しかし、それだけでなく幸せになる場所でもあると考えました。

机上の空論・キレイ事の話でなく、私が会社経営を通じてやってきた

◆財務 ◆理念・ビジョン作り ◆組織作り

を使い、もっと多くの企業や人に「愛と幸せと感謝と利益を最大化」させる貢献しようと思い、コンサルティング会社を立ち上げました。会社経営を通じ、関わる全ての人の「愛と幸せの世界をつくる」お手伝いをしております。