収益と利益の最大化を支援する
プロフィット・コーチの小林 剛です!
『結果』を出すなら、『(財務)知識』と『意識』で、PDCA
前回の記事では、「なぜ多くの企業はABC分析を行わないのか?」をお伝えしました。
そこには、“やめる勇気”や“数字への心理的抵抗”など、経営の根っこに関わる深い理由がありました。
では、「それでも導入したい」と決めた経営者は、どうすればABC分析を現場に根づかせられるのか?
今回は、コンサル現場で実際に成果を上げている企業の共通点から、導入の3ステップを解説します。
STEP1:データを「整理」する — 現実を見える化せよ!

ABC分析は、まず現実を正確に“見える化”することから始まります。
最初から完璧なデータを求める必要はありません。
大切なのは「集計できる最小単位」を決めて動くことです。
◆やるべき3つの整理◆
- 商品別売上・粗利益の一覧をつくる
→ 売上だけでなく「粗利益額」で並べる。 - 顧客別売上・粗利益の一覧をつくる
→ 誰が利益をもたらしているのかを把握する。 - 在庫や仕入れの構成比を出す
→ 資金を圧迫している“寝ている在庫”を可視化する。
★ 最初は「Excelで十分」です。
たとえ売上上位20社だけでも、構成比を出すことで“経営の真実”が見えてきます。
STEP2:「意味づけ」する — 数字を経営の言葉に変える

多くの企業がABC分析を途中でやめてしまう理由は、数字を出しただけで満足してしまうからです。
本当に大事なのは、数字の意味を経営視点で読み解くこと。
◆数字から導く3つの問い◆
- なぜAに集中すべきか?
→ A顧客・A商品が会社を支えている構造を説明できるか? - Bをどう育てるか?
→ 将来Aになる可能性をどう伸ばすか? - Cをどう処理するか?
→ 撤退・値上げ・外注・効率化の選択をどうするか?
数字を経営判断の会話に変換できるかがポイントです。
数字は冷たいようでいて、実は「経営の真実」を語ってくれる最も誠実な言葉です。
STEP3:「共有」する — 社員全員で“選択と集中”を理解する

ABC分析を社内に定着させるには、経営者だけが知っている状態から、全員で理解する状態へ進化させる必要があります。
◆社内浸透の3つの工夫◆
- グラフで見せる
→ 累積比グラフ(パレート図)を使うと一目で理解できる。 - 会議で語る
→ 「A顧客・A商品を守るために何をするか?」を議題にする。 - 目標に落とし込む
→ A顧客売上比率を毎期KPIに設定する。
ABC分析の最大の価値は、「社員が数字で経営を語れるようになること」。
属人的な感覚経営から、共通言語としての数字経営へと進化します。
◆実践企業の共通点:小さく始めて、習慣化する◆
成功している企業ほど、「完璧を目指さない」姿勢が共通しています。
「まずは上位20社の顧客だけでやってみた」
「売上ではなく粗利益で見たら、驚きの発見があった」
「毎月の営業会議でABCランクの変化を共有している」
こうした小さな実践の積み重ねが、数字文化を社内に根づかせるのです。
まとめ:「数字で語る経営」を文化にする
ABC分析は単なる分析手法ではなく、経営哲学の実践形です。
「数字で語る」文化をつくることは、
「感情や勘ではなく、事実と戦略で動く会社」をつくることでもあります。
★ 小さく始めて、大きく育てる。
「A」「B」「C」を定義することから、会社の“未来地図”が始まります。
