収益と利益の最大化を支援する
プロフィット・コーチの小林 剛です!
『結果』を出すなら、『(財務)知識』と『意識』で、PDCA
「うちの社員は数字に関心がない」
「営業は売上しか見ていない」
「現場はコスト意識が薄い」
─そんな声を、経営現場でよく耳にします。
しかし、社員が数字に関心がないのではなく、「自分の仕事と数字の関係」が見えていないだけなのです。
社員が“粗利益意識”を持つようになれば、会社は確実に強くなります。
今回は、社員の行動を変えるための「5つの仕掛け」をご紹介します。
社員が“粗利益意識”を持つ組織に変わる5つの仕掛け

① 経営数字を「共有」から「対話」へ変える
多くの企業では、月次報告で「売上」「利益」「経費」を発表します。
けれども、それを“報告で終わらせている”うちは、数字は他人事のまま。
大切なのは、
「この粗利を生み出しているのは、誰のどんな行動か?」
「どこにロスがあるのか?」
─という“対話”を生むことです。
たとえば、
- 部門ごとに粗利益を見える化する
- 「今月の粗利を伸ばした要因・下げた要因」をチームで話し合う
- 社員が「数字の背景」を説明する時間をつくる
こうした対話を通じて、数字が“現場のストーリー”として共有されます。
② 粗利益目標を「部署」ではなく「個人」にブレイクダウン
粗利益意識を根づかせる第一歩は、自分ゴト化です。
「会社全体で粗利益を上げよう!」と言っても、自分の仕事とのつながりが見えなければ行動は変わりません。
たとえば、
- 営業なら:「売上」ではなく「粗利金額」目標を設定する
- 製造や施工現場なら:「歩留まり」や「材料ロス率」を見える化する
- 管理部門なら:「間接コスト削減」や「時間あたり貢献」を数値化する
粗利を“個人単位の成果指標”に変えることで、「どうすれば粗利を増やせるか?」という意識が自然と生まれます。
③ “見える化”で「数字を自分の鏡」にする
数字は、行動の結果を映す鏡です。
だからこそ、社員が自分の数字をいつでも見られるようにすることが重要。
- 営業日報に「粗利率」を自動表示
- 原価管理シートを現場単位で共有
- 粗利グラフを社内モニターでリアルタイム更新
数字が“自分の仕事の成果”として可視化されると、「もっと良くしよう」という前向きな競争心が生まれます。
④ 粗利に直結する「学びと仕組み」を用意する
社員が粗利を上げるには、「どうすれば上がるのか」を知らなければなりません。
そのために必要なのが、“粗利をつくるスキル”の教育と共有の仕組みです。
たとえば:
- 営業研修で「値引きが粗利に与える影響」をシミュレーション
- 製造現場で「1%のロス削減が利益に与える効果」を可視化
- 全社員に「粗利貢献ワークシート」を配布し、気づきを書き出す
知識が「実感」に変わった瞬間、人は動き始めます。
⑤ 評価制度を「売上」から「粗利・貢献」に変える
最後の仕掛けは、“評価と報酬”の再設計です。
売上や件数だけを評価していては、社員は「売ればいい」「量をこなせばいい」という意識から抜け出せません。
評価の軸を次のように変えていきましょう。
| 評価基準 | 旧来型 | 粗利益経営型 |
| 売上目標 | 契約数・売上高 | 粗利益金額・利益率 |
| 行動評価 | 数量・速度重視 | 付加価値・改善提案重視 |
| 成果連動 | 成約件数 | 粗利益・キャッシュ創出額 |
評価制度が変わると、行動も必ず変わります。
「会社が何を重視しているか」は、評価基準がすべてを物語るのです。
まとめ:数字で動く会社から、“粗利益で育つ会社”へ
粗利意識が根づいた組織は、社員一人ひとりが、「この仕事がどれだけ会社を強くしているか」を実感できるようになります。
結果として─
✅ 経営数字が現場で生きた言葉になる
✅ 部門間で協力が生まれる
✅ 利益体質が自然と定着する
「粗利益をつくる力」は、「会社の未来をつくる力」です。
