
収益と利益の最大化を支援する
プロフィット・コーチの小林 剛です!
『結果』を出すなら、『(財務)知識』と『意識』で、PDCA
「うちは黒字だから大丈夫」と思っていませんか?
決算書を見ると利益が出ている。銀行口座にはいくらかお金もある。
「だから資金繰り表なんて必要ない」と思っていませんか?
実は、黒字でありながら倒産してしまう企業が毎年後を絶ちません。
これは「黒字倒産」と呼ばれるもので、 “帳簿上は健全”でも“現金が足りない”ことで、仕入や給与が払えず、資金ショートに至る事例です。
その背景には、『経営者がキャッシュの流れを見ていない(=見えていない)』という共通点があります。
そのリスクを未然に防ぐのが「資金繰り表」。
今や企業規模を問わず、必須の経営管理ツールといえます。
資金繰り表とは?

資金繰り表とは、会社のお金の出入り(キャッシュ・フロー)を見える化した一覧表のことです。
- 入金予定(売上、借入、助成金など)
- 出金予定(人件費、家賃、仕入、税金、借入返済など)
- 手元に残る現金の見通し(=資金残高)
これらを日単位・週単位・月単位で予測・管理していくもので、
言い換えれば、「会社の財布の未来予測」です。
会社の“健康状態”を表す体温計のようなもので、
キャッシュの動きが「見える」ことで、安心して判断できるようになります。
なぜ資金繰り表が必要なのか?

理 由 | 解 説 |
黒字倒産を防ぐため | 利益が出ていても、実際の現金が回らなければ支払ができません。会社はキャッシュが尽きた瞬間に止まります。 |
資金ショートの予兆を早期発見 | 「来月末にお金が足りなくなる」と分かれば、事前に融資や支払い調整が可能です。 |
経営判断の羅針盤に | 設備投資、新規採用、広告出稿なども「キャッシュベース」で判断する必要があります。 |
金融機関への信用資料に | 銀行や信金との面談で、「資金繰り表ありますか?」と聞かれるのはもはや常識です。 |
特に中小企業では、「社長の勘」だけで資金を回してきたケースも少なくありません。
しかし、時代は変わりました。数字に基づく説明と判断が求められる時代です。
実務での活用シーンは?

シーン | 活用方法 |
資金繰り予測 | 月単位、週単位でキャッシュの増減と残高を可視化し、1〜3ヶ月先の見通しを持つ。 |
融資申請・リスケ交渉 | 融資時に「この会社はお金の流れを管理できている」と示す資料に。 |
設備投資判断 | 「この投資をしても資金が回るか? 返済可能か?」を事前に検証。 |
支払遅延対策 | 危機が見えれば、支払先との交渉や借入手続きなどの対応を早めにできる。 |
例として、ある中堅企業では、資金繰り表で2ヶ月後の資金ショートに気づき、すぐにリスケ交渉と借入手配を行ったことで倒産を回避した事例もあります。
資金繰り表の活用方法 〜 実務でこう使う!

- 現金主義で記入
→ 会計と違って「売上の計上日」ではなく、「お金が動く日」で記録します。
(例:売上は1月末でも、入金は3月10日なら“3月”に記載) - 週次 or 月次で更新
→ 環境は常に変化します。支払延期や急な入金もあるので、都度アップデートが必要です。 - 複数シナリオで作成
→ 「通常」「悪化」「最悪」の3パターンでキャッシュの動きを想定しておけば、危機に強くなります。 - 経営会議で使う
→ 役員や財務責任者と共有し、実際の打ち手(融資、支出削減、増収施策)を議論しましょう。
作成・運用のポイント

ポイント | 実務的アドバイス |
入出金タイミングの正確性 | 入金予定日は“請求書の締め日”ではなく、実際に入金される日。支払も同様。 |
精度より継続性 | 最初は大まかでもOK。「毎月見る・作る」習慣が最も重要です。 |
項目はざっくりでOK | 売上、仕入、外注費、税金、人件費など大枠で十分。Excelで始められます。 |
余裕資金の把握 | 「月末に1,000万円残る」は安心材料にはなりません。来月の支出を差し引いた「実質残高」を見ましょう。 |
🧩 資金繰り表のイメージ
月次 | 1月 | 2月 | 3月 |
期首現金残高 | 5,000,000 | 4,500,000 | 3,200,000 |
売上入金 | 3,000,000 | 2,800,000 | 3,500,000 |
その他入金 | 500,000 | – | – |
支出合計 | ▲4,000,000 | ▲4,100,000 | ▲3,800,000 |
期末現金残高 | 4,500,000 | 3,200,000 | 2,900,000 |
このように、毎月の資金の増減を「見える化」することで、安心感と意思決定の確信が得られます。
まとめ:資金繰り表がもたらす“安心と判断力”
資金繰り表は、会社の「未来の財布事情」を事前に把握できる唯一のツールです。
「今月さえ乗り切ればなんとかなる」─ではなく、
「6ヶ月後のキャッシュを見て、今のうちに動く」という意識を持ちましょう。
資金繰り表は、会社の体温計であり、経営判断のレーダーです。
◆ テンプレートご希望の方へ ◆
- Excel資金繰り表フォーマット
ご希望に応じて無料でご提供しています。お気軽にお問い合わせください。