
収益と利益の最大化を支援する
プロフィット・コーチの小林 剛です!
『結果』を出すなら、『(財務)知識』と『意識』で、PDCA
「売上や利益だけを追っていませんか?」
多くの経営者は、決算書を開いてまず
「今年の売上は伸びたか?」
「利益はいくら残ったか?」に注目します。
もちろん、売上や利益は経営において非常に重要です。
しかし─それだけを見ていては、本当に会社が強くなっているかどうかはわかりません。
なぜなら、「資産をどれだけ効率的に活かせているか」 という視点が抜け落ちているからです。
売上が伸びても、過剰な在庫や売掛金、遊休資産にお金が眠っていれば、手元資金は不足し、黒字倒産に陥ることもあります。
逆に、売上が横ばいでも、資産を効率的に回転させ、利益率を改善すれば、会社は強くなります。
ROAとは?──資産を利益に変える力

そこで注目すべき指標が ROA(総資産利益率:Return On Assets) です。
◆ROA = 経常利益 ÷ 総資産
この指標は、会社が持つすべての資産(借入金で調達したお金も含む)を使って、どれだけ利益を稼いでいるかを示します。
つまり、「他人資本も含めた資産全体の運用効率」 を測るものです。
◆ROAは2つの要素に分解できる
ROAは次のように分解できます。
ROA = 総資産回転率 × 売上高経常利益率
- 総資産回転率(売上高 ÷ 総資産)
資産をどれだけ効率的に売上に変えているかを示す指標。
在庫回転率や設備稼働率、売掛金回収スピードが影響します。 - 売上高経常利益率(経常利益 ÷ 売上高)
売上からどれだけ利益を残せているかを示す指標。
粗利率や固定費のコントロール、値引き戦略などが影響します。
この分解式を使えば、ROAが低い原因が「資産効率の悪さ」なのか「利益率の低さ」なのかが明確になり、改善策を打ちやすくなります。
なぜROAが最重要指標なのか?

1. 資産効率が見える
利益が出ていても、総資産が膨張していれば効率は悪化します。
ROAを見れば、「資産を眠らせていないか」がすぐにわかります。
2. 銀行や投資家が重視する
金融機関は「貸したお金を効率よく利益に変えられる会社か?」を見ています。
ROAが低いと、資金効率が悪いと評価され、融資条件が不利になる可能性も。
3. 成長と資金繰りを同時にチェックできる
売上が伸びても、在庫や売掛金が増えすぎればキャッシュ不足に陥ります。
ROAを見れば、成長と資金繰りの健全性を両立できているかが一目でわかります。
◆トヨタの例に学ぶROA経営
決算期 | 総資産 | 経常利益 | ROA |
2022年3月期 | 63兆2,157億円 | 3兆9,951億円 | 6.3% |
2023年3月期 | 65兆1,980億円 | 4兆5,093億円 | 6.9% |
2024年3月期 | 71兆5,493億円 | 5兆8,661億円 | 8.2% |
資産が増加しているにもかかわらず、利益がさらに大きく伸びているため、ROAは上昇。
つまり、トヨタの強さは「規模の大きさ」ではなく、資産を効率的に利益に変える力にあるといえます。
ROA改善の実践ポイント

★総資産回転率の改善
遊休資産の売却、在庫削減、売掛金回収のスピードアップ
★売上高経常利益率の改善
高付加価値商品の販売強化、無駄な値引きの回避、固定費の最適化
これらを同時に進めることで、ROAは確実に向上し、会社は強くなります。
◆ 目安と結論 ◆
ROA 10%以上 … 世界的競争力のある水準
ROA 5%以上 … 優良企業の水準
まとめ:ROAは、「潰れない会社」をつくるのための最重要指標である
ROAを高めることは、
- 資産を最大限に活かして利益を生む
- 資金繰りを安定させる
- 金融機関や投資家の信頼を得る
ことにつながります。
「潰れない会社」をつくるために、経営者が最も注目すべき指標はROAです。
👉 あなたの会社のROAは何%ですか?
ぜひ一度、決算書から計算してみましょう。
そして「総資産回転率」と「利益率」のどちらに課題があるかを分析し、改善の一歩を踏み出してください。