数字から“問い”を立てる経営へ―財務分析評価シートを毎年銀行に提出する意味―

小林 剛
小林 剛

収益と利益の最大化を支援する
プロフィット・コーチの小林 剛です!

『結果』を出すなら、『(財務)知識』と『意識』で、PDCA

決算はゴールではなく、「次の問い」のはじまり

「今年も決算が終わった!」

経営者にとって、この瞬間はホッとするタイミングでもあります。

けれど本当の経営者は、ここからもう一歩踏み込みます。

決算書を見て「良かった・悪かった」で終わらせるのではなく、

「なぜこうなったのか?」

「来期はどう変えていくべきか?」という「問い」を立てるのです。

決算数字は、経営の“通信簿”ではありません。

むしろ、次の一手を導くための羅針盤

その羅針盤を見える化し、銀行や関係者と共有するのが「財務分析評価シート」です。

なぜ、財務分析評価シートを作るのか?

私の顧問先の多くは、決算後に「財務分析評価シート」を作成し、取引銀行に提出しています。

これは単なる「報告」ではなく、数字で語る経営姿勢を見せる行為です。

この1年間、どんな挑戦をし、どんな結果が出たのか。

数字をもとに振り返り、次の課題を明確にする。

そして、経営者自らが「問いを持って経営している」ことを示す。

それが、このシートを毎年提出する本当の価値なのです。

メリットは、たくさんある

🔹経営者にとってのメリット

まず何よりも大きいのは、経営の“見える化”です。

損益や資金繰り、自己資本比率などの数値を整理することで、「どこで稼ぎ」「どこでお金が止まっているのか」が明確になります。

また、前年比や業界平均と比較することで、改善すべき点や強みが浮き彫りになります。

数字を通して“事実”と向き合うことが、次の経営判断を確実にしてくれるのです。

さらに、この取り組みを通じて、社内の幹部・社員とも「共通の数字」を共有できるようになります。

同じデータを見て、同じ方向を向く。

これは、組織に“経営者意識”を育てる最高の教育ツールでもあります。

🔹銀行にとってのメリット

銀行の担当者は、貸出先企業を「数字」で見る仕事をしています。

しかし、数字だけでは企業の本当の姿までは見えません。

だからこそ、「財務分析評価シート」を通じて、経営者の考えや取り組みを“見える化”することは、銀行にとっても非常にありがたいのです。

  • 経営姿勢が明確で、信頼性が高まる
  • 格付け評価や融資判断にプラスに働く
  • 対話の質が上がり、金利交渉や資金調達がスムーズになる

銀行にとっても、経営者にとっても、このシートは“信頼を共有するツール”なのです。

数字を見るだけでなく、“問い”を立てよう

財務分析の本質は、数字を並べることではありません。

数字をもとに「問いを立てる」ことです。

  • なぜ粗利率は改善したのか?
  • 固定費が上がっても利益率を維持できた理由は?
  • 手元資金を増やすために、どの資産を見直すべきか?
  • 来期はどの指標(ROA・CF・KPI)を重視するべきか?

こうした問いを通じて、経営者の思考が磨かれ、「数字に強い会社」から「経営に強い会社」へと進化していきます。

まとめ:数字で語れる経営者が信頼を得る

『財務分析評価シート』は、単なる書類ではありません。

それは、経営者が数字で語るための“信頼の言語”です。

銀行にとっても、経営者にとっても、このシートは“信頼の橋”をかけるもの。

数字を通して誠実に語ること。

その積み重ねが、企業の信用を形づくり、やがては金融機関との関係を「取引」から「共創」へと変えていきます。

決算書を“税務のための資料”で終わらせず、“未来をつくる経営対話のツール”に変えること。

そこに、強い企業と信頼される経営者の共通点があります。

この記事を書いた人

小林 剛

小林 剛

現役経営者として30人の社員を雇用し、経営者として日々経営し『愛と幸せと感謝と利益を最大化』させるL&H(ラブハピ)経営を推進しています。

会社は関わる人たちの生活を支えるために収益を生み出す必要があります。しかし、それだけでなく幸せになる場所でもあると考えました。

机上の空論・キレイ事の話でなく、私が会社経営を通じてやってきた

◆財務 ◆理念・ビジョン作り ◆組織作り

を使い、もっと多くの企業や人に「愛と幸せと感謝と利益を最大化」させる貢献しようと思い、コンサルティング会社を立ち上げました。会社経営を通じ、関わる全ての人の「愛と幸せの世界をつくる」お手伝いをしております。