【生命保険】受取人を遺言で変更できるって本当?―保険法改正のポイントと実務の注意点

小林 剛
小林 剛

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プロフィット・コーチの小林 剛です!

「生命保険の受取人って、遺言で変えられるの?」

こんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

実は、2010年4月1日施行の改正保険法により、一定の条件を満たせば「遺言で生命保険の受取人を変更できる」ようになりました。

ただし、そこには重要な制約と実務的な注意点があります。

この記事では、改正法の内容と、実務で気をつけるべきポイントをわかりやすく説明します。

改正保険法で何が変わったのか?

改正前の保険法では、生命保険の受取人は「契約者が保険会社に申し出て変更する」ことが原則でした。

ところが、2010年4月1日に施行された保険法第44条によって、

「保険金受取人は、遺言によっても変更することができる」

と、明文化されました。

つまり、契約者が亡くなった後に開封される遺言書によって、保険金の受取人を変更できる道が開かれたのです。

遺言で変更できるのは、どんな契約?

重要なのは、この制度がすべての保険契約に適用されるわけではないという点です。

遺言による変更が可能となる条件は以下の通りです

  • 2010年4月1日以降に契約された生命保険であること

 (それ以前の契約は、原則として対象外。※ただし約款で特例がある場合も)

  • 遺言が民法の方式に則って有効であること

 (自筆証書遺言、公正証書遺言など)

  • 被保険者が他人である場合は、その同意があること
  • 保険会社の約款上、指定できる受取人の範囲内であること

 (内縁関係などの場合は要確認)

実務での注意点 ― 「遺言を書けばOK」ではない!

遺言で保険金の受取人を変更することは可能になりましたが、実際には細かな実務対応が重要です。

手続き上の注意点:

  • 遺言が効力を持つのは「死亡後」です。

   つまり、契約者の死亡後に、相続人または遺言執行者が保険会社に連絡・請求しない限り、変更は反映されません。

  • 通知が遅れると、旧受取人に保険金が支払われてしまう恐れがあります。

 ⇒ 遺言執行者の指定をし、保険会社への通知体制を整えておくことが大切です。

遺言に記載すべきポイントとは?

遺言によって受取人を変更したい場合には、以下の情報を明記することが望ましいです。

  • 保険会社名
  • 保険契約番号・証券番号
  • 契約者・被保険者の氏名
  • 変更前の受取人と変更後の受取人(続柄・住所・生年月日)
  • 受取人を変更する旨の明確な表現

また、「遺言執行者」を遺言内で指名しておくことで、スムーズに保険会社とのやりとりを行えます。

実務アドバイスのまとめ

チェック項目内 容
契約日を確認2010年4月1日以降の契約か?
約款を確認受取人として指定できる範囲に問題がないか?
遺言の方式民法に定める正式な遺言か?(自筆、公正証書)
記載情報保険証券番号、契約者・受取人の情報など明確に書く
遺言執行者の設定死後に保険会社に通知・請求してもらうため

最後に:安全確実なのは「生前の受取人変更手続き」

保険法の改正により、遺言で受取人を変更できる道は開かれました。

しかし、現実には:

  • 書類の不備
  • 相続人の混乱
  • 保険会社への通知の遅れ

などによって、本来意図した通りに保険金が支払われないリスクもあります。

資料・テンプレートをご希望の方へ

  • 遺言のサンプル文例
  • 遺言執行者の任命書
  • 保険会社への通知書式
  • 公正証書遺言での書き方ポイント

など、実務に使えるテンプレートが必要な方は、お気軽にお問い合わせください。

この記事が、生命保険と遺言の適切な活用にお役立ていただければ幸いです。

※記事内容は一般的情報をもとに構成されており、個別の判断は専門家にご相談ください。

この記事を書いた人

小林 剛

小林 剛

現役経営者として30人の社員を雇用し、経営者として日々経営し『愛と幸せと感謝と利益を最大化』させるL&H(ラブハピ)経営を推進しています。

会社は関わる人たちの生活を支えるために収益を生み出す必要があります。しかし、それだけでなく幸せになる場所でもあると考えました。

机上の空論・キレイ事の話でなく、私が会社経営を通じてやってきた

◆財務 ◆理念・ビジョン作り ◆組織作り

を使い、もっと多くの企業や人に「愛と幸せと感謝と利益を最大化」させる貢献しようと思い、コンサルティング会社を立ち上げました。会社経営を通じ、関わる全ての人の「愛と幸せの世界をつくる」お手伝いをしております。